今回は、失敗から学ぶ方法を教えてくれる本「失敗の科学」を紹介したいと思います。この本は、オックスフォード大学を首席で卒業したジャーナリストのマシュー・サイドが書いたビジネス書です。
失敗から学ぶ組織と学ばない組織の違いを、医療、航空、スポーツ、司法などの様々な分野の事例をもとに分析しています。失敗を恐れずに挑戦し、改善点を見つけることが、究極のパフォーマンスを発揮するためのカギだと説いています。
この本の主なメッセージは以下のようにまとめられます。
- 考えるな、間違えろ。
失敗は学習の機会であり、成長の源泉である。失敗を隠したり、非難したりするのではなく、失敗からフィードバックを得て、次に活かすことが重要である。 - ゴール設定を明確にする。
目標がはっきりしていれば、失敗の原因や改善策が見えやすくなる。目標は具体的で測定可能で達成可能で関連性のある期限のあるもの(SMART)であるべきである。
※SMART目標設定とは、目標を立てるときに5つの基準に沿って
具体的に設定する方法です。5つの基準は、以下のようになります。
- Specific(具体的な):目標が明確でわかりやすいか
- Measurable(測定可能な):目標の達成度が数値などで測れるか
- Achievable(実現可能な):目標が現実的で達成できるか
- Relevant(関連した):目標が自分の利益や組織の目標に関連しているか
- Time-bound(期限を定めた):目標に期限が設定されているか
- 正確な報告が重要。
失敗やその原因を正しく報告することで、組織全体が学ぶことができる。航空業界では、ブラックボックスという装置を使って、事故のデータを記録し、分析し、再発防止に努めている。これに対して、医療業界では、医療ミスを隠蔽したり、責任転嫁したりする傾向があると指摘している。
- マージナルゲインをくり返せ。
小さな改善を積み重ねることで、大きな成果を得ることができる。自転車競技のイギリスチームは、自転車の部品や選手の服装や食事や睡眠など、あらゆる要素において1%の改善を目指し、オリンピックやツール・ド・フランスで圧倒的な成績を収めたという事例を紹介している。
この本の具体例と解決事例
この本では、上記のメッセージを裏付けるように、様々な分野の具体例と解決事例が紹介されています。ここでは、その中からいくつかをピックアップしてみます。
考えるな、間違えろ。
- ダイソンの掃除機の開発:ダイソンは、従来の掃除機の欠点を克服するために、サイクロン式の掃除機を開発しようとした。しかし、その過程で彼は何度も失敗に直面した。彼は、失敗を恐れずに試行錯誤を続け、最終的には5,127回目の試作品で成功を収めた。彼は、失敗から学び、改善し続けることで、革新的な製品を生み出したのである。
- リーンスタートアップのMVP(最小限の実現可能製品):
リーンスタートアップとは、顧客のニーズに応える製品やサービスを素早く開発する方法論である。その中で重要な概念がMVPである。
MVPとは、最低限の機能を持った製品やサービスを作り、顧客の反応をテストすることである。
MVPは、完璧な製品を作るよりも、失敗を早く見つけることを目的としている。MVPを通じて、顧客の本当のニーズや問題点を発見し、改善していくことで、成功に近づくのである。
ゴール設定を明確にする。
- マイケル・ジョーダンのバスケットボールのキャリア:
マイケル・ジョーダンは、NBAの歴史上最高のバスケットボール選手の一人である。
彼は、自分の目標を常に明確にしていた。彼は、自分の弱点を分析し、それを克服するために練習を重ねた。
彼は、自分の成績やチームの成績を測定し、常に向上を目指した。
彼は、自分の関心や情熱に沿った目標を設定し、それに集中した。
彼は、自分の目標に期限を設定し、それに向かって努力した。
彼は、SMARTな目標設定の見本であると言える。
ブラックボックスと医療ミスの対比:
航空業界では、飛行機にはブラックボックスと呼ばれるデータ記録装置が搭載されています。
これは、飛行中に発生した様々なデータを記録し、事故発生時にそのデータを解析することで事故原因を特定し、同様の事故の再発防止に役立てるものです。
このブラックボックスの考え方を医療に応用することで、医療ミスの発生原因やパターンを正確に把握し、医療の安全性向上に寄与することが可能です。まとめ
「失敗の科学」は、失敗を避けることではなく、失敗から学び、成長することの重要性を説く優れた本です。具体的な事例を通して、失敗をどう受け止め、どう改善につなげるかが詳細に解説されています。挑戦し、試行錯誤することでこそ、真の成功が得られるのだというメッセージが鮮明に伝わってきます。
最後に、トライアンドエラーという言葉がありますが、
研究・開発にても成功したデータよりも失敗や思うような出ないデータの方が、
重要な場合があります。
これをネガティブデータとか言ったりしますが、これを競合他社が知っていたらということです。 凄く簡単にいうと、このネガティブデーターの分だけ実験等で割り出す必要がなく、仮にこのネガティブデーターが緻密で細部までわかっているとすると、この逆の方法を行うと新製品が出来てしまうかもれないという、結果になります。
情報漏洩はこういうことにもつながるので気をつけましょう。
しかも、発案者がネガティブデーターを受け取った会社でないと発覚した時点で
特許にした場合に無効の理由にもなり得るので、気をつけてくださいね。今回紹介した本は下記になります。他にも事例が記載されているので一読すると色々な局面で
役に立つと思いますよ。情報漏洩、ノウハウの記事は下記にあります。